2008年1月12日土曜日

さらば銀塩カメラ 〜愛の撮士達〜


一昨年あたりから、カメラメーカーが銀塩(フィルム)カメラから続々と撤退していき、世の中すっかりデジタルカメラが主役の座についたようです。

街中で携帯電話に付属しているデジタルカメラで撮影している風景も、ごくごく当たり前の風景となり、一億総カメラマンの時代になったと言ってはおおげさでしょうか。フィルムカメラは趣味性の強いモノとなり、自分の仕事でも100%デジタルカメラによる写真データへと変わってしまいました。あれだけ使われていた『写るんです』も、エコ指向の現代にはマッチしないからでしょうか、見かける事がなくなりました。(もちろんお店に行けば、まだ売ってますが)
しかしながら、ここのところ強く思うのが、デジタルカメラによる写真が、フィルムで撮影した時ほどのトキメキを感じなくなったような気がすることです。デジタルカメラの特徴でなんと言っても優れている点は、撮ったその場で画を確認出来るところ。これは銀塩時代のことを思うと、革命的であります。うまく撮れていなければ、すぐさまやり直しがききます。すごい。でもその事により、写真を撮るという行為の“何かが”変わったように思うのです。でもその“何か”とはなんだろう...。
その事を確かめる為に、久しぶりに銀塩カメラ『F3』で、我が家の愛猫HAL9000をネガフィルムで撮影してみました。以前は仕事でも、このカメラを持っていきバシャコと撮影していたのに、すっかりホコリをかぶっておりました。ごめん。

F3はマニュアルフォーカスなので、手でピントリングを操作し、露出をあわせてやらねばなりません。動物や子供など、ちょこまか動く被写体を撮るには苦労します。ピントを合わせたと思ったら、撮影者の思いもむなしく被写体が動いてしまいます。はっきり言って、イライラします。はい、笑って〜と言っても、猫はちっとも笑ってくれません。むしろ不愛想です。目線もちっともくれません。しかし気がつくと、僕はHAL9000を撮るのに、もう一生懸命なのです。被写体といつの間にか気持ちをかわし合おうとしているのです。この気持ち、例えれば恋愛みたいなモノでしょうか。バシャ、バシャッ。はたして、相思相愛か片思いで終わるのか...。

撮ったフィルムを自由が丘にある(今話題の)ポパイカメラというお店に、現像を出してみました。以前仕事でフィルムを使っていた時は、プロラボへ全て現像を出していたので、町のカメラ屋さんに行くのも随分久しぶりです。ここのお店、ものすごく感じが良くてお勧めです。こちらのお店の話はまた別の機会にするとして、とにかく紙焼きが上がりました。ジャジャーン、完成です。


うーん、感動です。忘れかけていた写真に対するワクワク感がよみがえったようです。印画紙に映し出されていたHAL9000は、どれも男前に撮れていました。哀愁すら漂っています。実物よりもいいぞ。それにしても印画紙による紙焼きは、デジタルカメラ用の高精度インクジェットの紙焼きとは違い、どこか暖かみを感じます。なかなか良いじゃないですか。自画自賛。

今回の写真の事に限らず、現代におけるモノ作りの行為など全てに言えると思うのですが、デジタルが良いとか悪いとかではなく、やはり作り手の“気持ち”が大切なのだと再認識いたしました。デジタルは、人間が行わねばならないプロセスがあまりにも簡略化され、気持ちの部分が気薄になりやすいのでしょう。その点を忘れなければ、デジタルカメラで撮影しても変わらないのだと思います。

いやでも楽しかった。

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