2008年5月18日日曜日

森山大道展



恵比寿にある東京都写真美術館にて展示が行われている“ 森山大道展 I. レトロスペクティヴ1965-2006 II.ハワイ ”を見て参りましたので、リポートです。


「アレ、ブレ、ボケ」に代表される森山大道氏の大規模な写真展。展示は2部構成に分かれており、3Fは“I. レトロスペクティヴ1965-2006”と題し、デビュー時の横須賀の写真に始まり、にっぽん劇場写真帖などから北海道に代表される北の町の写真の数々。そしてスランプ脱出後の光と影シリーズから新宿、大阪を撮りまくった現在に至るまでの作品でした。


ご本人の性格からか、ご自分の写真を回顧することはないので、こちらの写真構成は写真美術館側が行ったようです。なかなかよい構成だったのですが、欲を言えばもっと写真点数が多くても良いのではと思いました。なんといっても森山大道なのですから。


200点あまりの写真を俯瞰して見ていると、森山氏の写真に対する“疑問”が常に印画紙に焼き付けられているようで、見る物の感情を大きく揺さぶります。光と影シリーズの写真は今回はじめて見まして、モチーフに対して純粋に正面から向き合っている写真に驚きと新鮮さを感じました。そして一貫して写し続けている街中のスナップ写真では、人の背中を写した写真が印象的でした。写真にの中の人物が背負う人生のその向こうまでをも感じさせ、ひいては自分の過去の記憶と結びつけてしまう何かがあるのです。そしてその視点は、今ではすっかりいなくなってしまった野良犬の視点なのだな...とあらためて思いました。こちらの感情にブスリと刺さり、グラグラと心が揺すぶられ続ける...そんな写真です。


続いて2Fでは最新作のハワイの写真です。森山大道とハワイ...。これほどミスマッチな組み合わせはないな...とはじめは思いました。が、しかし、そんな想いはものの見事に吹き飛ばしてくれます。入り口に入ると両側にドカンと畳大ぐらいの巨大なプリントが、ズラリと並んでいます。もうこれだけで圧巻なのですが、もちろん写真も森山調でドスリと心に突き刺さってきました。


ハワイがハワイに見えない...。青空と青い海、極彩色豊かな南のパラダイス...といったステレオタイプなハワイのイメージからはほど遠く、どこか北の地方のさびれた町...といった風に見える写真の数々。すごいです。これが現在進行形の森山氏なのだな...と思わずニヤリとさせされます。展示の最後には、ハワイでの撮影の様子のドキュメンタリービデオが流れています。何もしゃべらず、ただひたすら黙々と写真を撮り続ける森山氏の姿に、そこにいる全員が食い入るようにしてスクリーンを見つめておりました。
帰りにミュージアムショップへ寄りまして、先行発売されていた本“森山大道論”を買いました。


久々に見応えのある写真展を見させて頂きました。とくにハワイの方の展示は、本当に圧巻ですので、森山大道氏の写真を未見の方にはぜひとも見て頂きたいと思います。

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