2008年7月20日日曜日

崖の上のポニョ


待望の宮崎アニメ4年振りの新作という事で、早速“崖の上のポニョ”を公開初日に見て参りましたのでリポートします。まだ観ていない人には、内容にも触れている事をおことわりしておきます。

場所は歴史ある映画館“日比谷スカラ座”。公開初日とあって超満員状態か...と予想していたのですが、この劇場も今時はやりの完全入れ替え制。チケットを事前に購入するタイプの映画館の為、うちの奥さんに事前に購入してもらっていたので、安心して座ってみれました。でも、我々が見た回は7割ぐらいの入りで、まだ余裕で座れたようです。うーん、宮崎アニメなのに、何だか肩すかしです。

さて、映画を見ての感想なのですが、今までの宮崎アニメを期待して観に行くとさらに完全に肩すかしを喰らいます。事前に頭の中を久石譲作曲の主題歌“ ポーニョ、ポニョポニョ♩魚の子♬ ”が巡っていたからか(考えてみればポニョは魚の子ではないのでは...)、はたまた前日の金曜ロードショウで放送されていた“ となりのトトロ ”を観ていたのも手伝ってか、大人も楽しめるほのぼの化け物アニメを何となく想像しておりました。でも違いました。今回の作品は過去の一連の作品とは違い、“ 変 ”なのです。それもかなり。

映画の冒頭、“はじまり”という手書きのひらがなの文字を見て、これは“パンダコパンダ”や“トトロ”のように、完全に(今回こそ)こどもへ挑戦したアニメーションに宮崎駿監督は挑んだのだな...と思いました。意図的に手書き感を強調した作画と、いつものごとくリアルな人間生活描写。車や船、スーパーなど、観ていると現代を舞台にした日本のどこか...というのがわかってきます。物語前半はいつもの宮崎アニメごとくと言ってよい展開です。しかしそこに暮らす人は、どこか変です。普通の人であるはずの宗介のお母さん“リサ”は、ルパンばりのスーパードライヴィングテクニックで軽自動車を運転し、だんなが仕事で帰れないと聞くや、感情をむき出し爆発して不貞腐れてしまう等、極めて人間っぽい一面がある一方、いきなり暴風雨の中、小さな女の子が現れても、お父さんとお母さんの居場所も全くきかない非常識な人です。宗介くんのお父さんは仕事仕事で家に帰らず、勤務中に照明信号で息子と会話を楽しんで無邪気に喜んでいます。人面魚“ポニョ”を見て、あらかわいいと言うひまわりの家のばあさん達。唯一拒否反応を起こしていたトキさんというばあさんがまともに見えます。


町の大半が水没したのに、5歳の子供達が頼りないぽんぽん船に乗って進んでいるのを見つけても、助けようともしない大人の人達。一見かわいいポニョですが、そこはトトロと同じく得体の知れない化け物です。手がはえ足がはえの半魚人。ポニョのお母さん“グランマンマーレ”にいたっては、いきなり人間になりたいという娘に困っている父フジモトを、あらべつにいいじゃないのかしら。もともと私たちは泡だったんだし...と鼻であしらう始末。そのポニョの父フジモトにいたっては、大いなる野望を持ってはいるものの、5歳の娘にはタジタジです。なんだかこの作品に出てくる大人達は、どこか子供じみている人達ばかりなのです。
とにかく大人の目線で見ていると、数々の疑問がわき起こりますが、ここではもう触れないでおきましょう。


ただ唯一、この物語で一番しっかりとした大人だったのが、5歳の主人公“宗介くん”なのです。...そうか、もしかしてこれは宗介くんの壮大なる夢なのか...?!とも思いましたが、この夢はさめませんでした。そして唐突なるラスト。ひらがなの“ お わ り ”の文字。肩書きなしの短いスタッフ・エンドクレジットにも驚きです。うーん、凄い。観た後に、不思議な感覚を覚えます。うーん、感動した! ...とか、面白かった!! ...というような爽快感は、全くありません。それとは違う何か...。“2001年宇宙の旅”を観た後の、あの感じに似ていると言えばわかりますでしょうか...。なんかとんでもないモノを見ちゃった...というあの感じ。
ある意味これは、宮崎駿監督の最高傑作だと思います。

それにしてもグイグイ動くジブリアニメは、観ていて気持ちが良いです。これだけでも観に行く価値ありだと思います。出来れば日本国民である以上、最低1回は劇場に足を運んで見てほしいです。こんなアニメーション、めったに観れませんよ。いや本当に。

僕もとりあえずもう1回は観るつもりです。

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